スギ・ダニ併用舌下免疫療法につきまして

最近は日差しが暑いですね。熱中症にも気を付けなければと思います。

感染予防のためにマスクは必要ですが、暑い時には人込みを避けてマスクを外すなどの対応をしていただきたいと思います。

さて、今回は舌下免疫療法についてお話します。

舌下免疫療法は2014年からスギ花粉症に対して始まり、翌年からはダニのアレルギー性鼻炎にも始まりました。また、2018年からは適応が小児にも広がり、現在は多くの方に治療を受けて頂くことができるようになっています。

対象となるのは、スギ花粉症とダニのアレルギー性鼻炎です。他のアレルギー疾患に対する適応はありません。

・併用療法について

アレルギー性鼻炎の方にはスギとダニの両方に悩まされている方も多くいらっしゃいます。そのため、スギとダニの併用舌下免疫療法も行われるようになってきました。

治療期間が3~5年と長期になりますので、同時に治療できることは患者様にとっても有益だと思います。

併用療法では、まず片方から開始し、維持期になった後(1か月以上経過した後)にもう1つの治療を開始します。どちらをはじめに開始しても安全性に問題はないと言われています。

・小児について

小児では安全に治療を行えるかどうかが大切で、舌の下に1分間うまく維持できるかどうか、また服用前後2時間に強い運動を避けることができるかどうかがポイントとなります。

小児の場合、食物アレルギー・気管支喘息・アトピー性皮膚炎もお持ちの方もいらっしゃいます。免疫療法を行うことで、それらが悪化する可能性や強めの副作用が出る可能性もありますので、小児科や皮膚科の主治医の先生と相談の上検討されることをおすすめいたします。

当院でも舌下免疫療法を行っておられる患者様が増えてきました。

ご希望の方はお気軽にご相談ください。

「聴こえの老化」につきまして

5月は新緑のさわやかな季節という印象ですが、今年は早くも梅雨に入ってじめじめした日が多いですね。

さて今回は「聴こえの老化」についてお話したいと思います。

年をとってゆくと聞こえが悪くなるという事は皆さんよくご存じだと思います。

年齢による耳の衰えは30代から始まると言われています。65歳から急に増えて、75歳以上では男性で71%、女性67%の方に難聴があると報告されています。個人差も大きいです。

老化してゆく原因としては、遺伝も関係しいますし、騒音や、糖尿病・循環器疾患・脳血管疾患といった全身疾患も関係します。これらのために、耳の中で活性酸素が多くなり細胞が傷んでしまうと言われています。

特長としては

1.高い音から順に聞こえにくくなります。高い音が聞こえにくくなると、カ行、サ行、タ行、ハ行が聞き取りにくくなります。

2.声は聴こえても、しゃべっている意味が分かりにくくなります。

3.早口や、雑音がある中での聴きとりが悪くなります。

聴こえの老化は、ただ耳のはたらきが低下するだけでなく、脳の働きが低下する、認知機能が低下する、この3つが関係してすすんでゆきます。

瞬間的な情報を処理する速度が落ちたり、どんどん変化する会話音の情報を分析しきれなくなります。高齢の方は(若い人と比べて)脳の活動を高めてることで、耳の機能低下による聞き取りにくさを補っているので、高齢の方ほど聴こえの情報を処理するのに認知機能にたよっています。

ですから認知機能の低下を予防することが重要で、生活習慣の改善、音楽、運動、知的活動などを積極的に行うことが大切といわれています。

また、周囲の人には、ゆっくりしゃべってもらうこと、顔のよく見える位置でしゃべっていただくことをお願いします。

老化による難聴を予防するためには大きな音を避けることも重要です。

WHO(世界保健機関)は携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンなどで大音量の音を長時間聴くと、若い世代(12~35歳)でも多くの人が難聴になる恐れがあると警鐘を鳴らしていますので、若い方もぜひ気を付けていただきたいと思います。

サプリメントについては確立されたものはないようです。 

聴こえの老化を改善する治療ですが、現時点では耳~脳~認知機能の聴覚のネットワークを総合的に改善させる方法はないため、聞こえが悪くなってしまったら補聴器を検討するしか方法はないようです。今後は再生医療や薬剤などに期待したいと思います。

聴こえなくなってからの期間が長くなると聴能が衰える可能性が高くなります。難聴のある方は聴こえが正常の方と比べて、認知機能の低下や抑うつの頻度が高くなることから、聴こえにくくなるようであれば耳鼻咽喉科を早めに受診していただき、適応があるようでしたら、はやめに補聴器をご検討していただくことがよいと思います。

めまいのセルフケアにつきまして

最近は天気の良い日には気温が上昇して夏日となることもあり、気温差が大きいため服装でこまめに調節することが大変ですね。

さて今回はめまいのセルフケアについてお話したいと思います。

めまいの原因には、脳、耳、循環器、血液、心因性など様々なものがあります。そのなかでも耳からのめまいがいちばん多いと言われていて、良性発作性頭位めまい症、メニエル病、前庭神経炎などがあります。これらのめまいに対しては、投薬治療に加えて、生活指導、リハビリテーションなどを行うことがあります。

めまいのリハビリテーションは、じっとしていては治りが悪いので積極的にトレーニングしてバランス感覚を治そうとするものです。リハビリ効果がある疾患としては、良性発作性頭位めまい症や加齢によるめまいなどがあります。

リハビリにはいろいろなものがありますが、ご自分でできる簡単なものとしては、めまいが起きる動作・姿勢・目の動きを繰り返すことです。例えば、体を起こすときにめまいが起きる人は寝たり起きたりを繰り返す、顔を上に向けた時やうつ向いたときにめまいが起きる人は頭を上向き・下向きと交互に動かすことを繰り返す、などです。はじめは動かすとめまいが起きますが少しずつ根気よく続けることが大切です。 

メニエル病についてはリハビリをしないほうがよい場合もあるので、病院でリハビリしたほうがよいかどうかを判断したほうがよいと思います。

メニエル病はストレスが発症に大きくかかわっているためストレス対策が重要です。ストレス源が分かっていればできるだけ避けること、また過労は避け、十分な睡眠をとることが大切です。具体的には、はやめに帰宅しはやめに寝る、規則正しい生活をする、頑張りすぎない、完璧にこだわらない、他人の評価を気にしない、趣味や娯楽を持つ、などです。適度な有酸素運動を行うことも大切です。また水分を少し多めに摂る、塩分やカフェインを控えめにすることで内耳の循環が改善すると考えられています。

めまいは全般的に睡眠不足やかぜ、更年期などの体調不良、天候(寒暖差や低気圧)、過労、ストレス、人込みなどによって悪化することがあります。ご自身にはどれが良くないかを理解しておくことで、対処することができるようになると安心ですね。

花粉症につきまして②

3月ブログ

3月も後半になりました。

今年はスギ花粉症の方の症状が強いようです。例年服用している薬では効果が不十分というかたも多くいらっしゃいます。

今回は花粉症の症状を軽減する方法について考えてみたいと思います。

花粉症を軽くする第一歩はその花粉を避けることです。

このため、花粉が多く飛ぶ日をよく知るために飛散情報を確認しておくことが望まれます。

花粉飛散量は天気の影響を強く受け、晴れた日、風の強い日、乾燥した日、温かい日、雨上がりの翌日は多くなります。

天気の良い日の外出は出来るだけ避ける、花粉用マスクや花粉用眼鏡を装着する、

花粉の付着しにくい衣服を着る、部屋の換気も必要ですが最小限にとどめる、

などの対応を行うことが大切となります。

今はヒノキ花粉の飛散が本格化している時期です。ヒノキ花粉にアレルギーをお持ちの方は4月中も花粉を避ける対策を続けてください。

ご本人の体調によっても症状が変わります。

3月は年度末でとても忙しくストレスのかかる方もいらっしゃると思います。睡眠時間が少なくなりストレスがあると症状も強くなりやすいため規則的な生活を送り体調を整えておきましょう。

通常の薬でもお困りの方は、

スギ花粉症に対する舌下免疫療法や抗IgE抗体治療薬(ゾレア注射) を行っておりますのでご相談ください。

お子様の診察につきまして

2月となり花粉症の患者様も来院されるようになりました。この時期には風邪ひきの患者様も受診され、かぜかアレルギーかわからないと言われる方もおおく、診察すると鼻風邪の方、花粉症の方、また両方ともお持ちの方もいらっしゃる印象を持っています。

さて今回は耳鼻科での診察についてお話させて頂きたいと思います。

耳鼻科では、耳の症状で受診されたお子様は必ず鼻を診察します。中耳炎があるときには鼻炎や副鼻腔炎を認めることが多いためです。耳そうじのご希望のみで受診された方でも、耳あかを除去後に中耳炎があれば鼻の診察を行います。

また、逆に、鼻の症状で受診されたお子様も必ず耳の診察を行います。これは鼻症状がある時には気が付かないうちに中耳炎になっている可能性があるからです。

のどの症状で受診されたお子様も耳と鼻を確認します。

このような診察を行うのは、耳と鼻とのどが、鼻の奥にある上咽頭と呼ばれる部分でつながっていて、耳・鼻・のどはお互いに強く関係しているからです。

お子様の診察の時には、保護者の方にお子様をしっかり動かないように抱えていただき(抱え方は指示させていただきます)、スタッフはお子様の頭を固定させていただいて診察を行います。

それは、お子様が動いてしまうと診察がうまくできないだけでなく、金属の器具などを用いて診察を行うので危険なことがあるからです。

診察に時間がかかると、お子様も保護者の方もスタッフも医師もみんな大変な場合もあるのですが、以上のような理由で耳、鼻、のどを見せていただきます。

当院では、お子様に診察に協力していただくため、できるだけこわがらせないように、診察前にやさしく声掛けを行ったり、細い機器や軟らかい器具を使用したりなどして、可能な範囲ではありますが、より負担の少ない診療を心がけています。また無事診察が終わった際には笑顔で「上手によくできたね」という言葉をかけるようにしています。

最初は体を大きく動かしてイヤイヤをしていたお子様が、診察に慣れてくると、じっと座って見せてくれるようになります。

体調が良くないときに病院に行くと聞いただけで「何をされるだろう」と怖くなったり不安になったりするのは大人も子供もみんな同じと思います。受診されるお子様に対しては笑顔でやさしく、負担の少ない診察を行ってゆきたいと思います。

スギ花粉症につきまして2021

新年になって暖かい日や風の強い日もあるためか、花粉症の症状で受診される方がいらっしゃいます。

そのような方々は受診されて開口一番、私は毎年1月になると鼻みず、くしゃみが出ます、とおっしゃいます。

日本気象協会のHPによると、関西は1月現在では飛散開始前となっており詳細な花粉情報はまだでていないようです。

また、今年の大阪のスギ花粉症の飛散開始日は2月20日となっています。飛散開始日は1cmあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した時の最初の日となっているため、実際にはこの日よりも早くからスギ花粉の症状を訴える方が多いです。

今年の飛散量は例年に比べて少ないと言われていますが、昨年はスギ花粉の飛散が非常に少なかったため、昨年に比べると多いとされています。

スギ花粉症の治療については、まずは抗原回避、つまり花粉を避ける行動が必要です。最近では新型コロナの影響で家にいることが増え、また普段からマスクを着けていることが多いので、それだけで抗原回避になると思います。いろいろなマスクがある中で、花粉症状が強い方には花粉をブロックするバリア性の高いマスクをお勧めします。また帰宅時には手洗い、うがいなどもお願いします。

病院では、薬の内服や点鼻薬の治療を行っています。標準的な内服治療で症状が楽にならない重症スギ花粉症の方は、舌下免疫療法を検討します。ただし治療開始は花粉飛散期を避ける必要があるため、6~11月頃となります。手術も同様に、スギ花粉飛散期に手術をすることは一般的には避けられています。また昨年からは 重症スギ花粉症の方に アレルギーを強くおさえる生物学的製剤の薬が使用できるようになりました。これは症状の出る1~4月の間に、月に1~2回の注射を行います。高額な薬ですが、花粉症状に苦しんでおられる方は一度検討されてもよいでしょう。

毎年花粉症状に悩んでいらっしゃる方ははやめに備えておきましょう。

補聴器につきまして2

前回は補聴器のお話をさせていただきましたが、今回もその続きです。

補聴器は慣れるまでに数カ月かかることなどお話ししましたが、補聴器の取扱いにも慣れていただく必要があります。

お風呂に入るときや寝るときには外す、なくさないように気を付ける、電池が切れたら交換をする、などです。

耐用年数は一般的には丁寧に使用しても5~7年程度と言われています。 定期的メンテナンスを行うことでより長くご使用いただけるようになります。 故障した場合には買い替えが必要となります。

また、補聴器は医療機器ですので高額なところがネックとなります。

耳に掛けるタイプのもので必要な機能を備えた補聴器は1個が十数万円程度です。両耳に装用する場合には2倍近い金額が必要となります。

さらに高機能を希望される場合、1個数十万円のものもあります。 高機能とは、例えば耳の中にすっぽり入って周りからは見えないものや、スマートフォンとつないで、スマートフォンで補聴器を調整したり、直接補聴器に音楽を流して聴いたり、補聴器の場所を探したりするもの、また両耳の補聴器間で通信することが可能なものなどがあります。

このように高額な補聴器ですが、補聴器はご自分の耳とは異なりますので、昔の聞こえていた頃のご自分の耳と全く同じ聞こえに戻るわけではありません。したがって限界はあるということもご理解いただく必要があります。例えば大勢での集会、周りが騒がしい中での会話などは補聴器の苦手なところです。

補聴器にかかわる公的な補助制度としては、身体障害に該当する高度の難聴のある方、難病の指定を受けられている方、労働災害によって生じた難聴の方が対象となります。また小児では、身体障害に該当しない軽度・中等度難聴に対しても自治体によっては助成がある場合もあります。

片耳装用と両耳装用とどちらが良いのですか?と質問があります。個々の患者様の状況によっても異なりますが、基本的には両耳装用をおすすめします。その方がより多くの音を拾うことができるからです。ただこれは絶対ではありません。

近年では難聴と認知機能の低下との関係が言われています。難聴があるから認知症になりやすいとか、補聴器をつけたら認知症にならない、とはいえませんが、耳が聞こえなくて他の人とのコミュニケーションを取らない方は社会的に孤立しやすいために認知機能が低下する可能性があるといわれています。ですので聞こえにくくなったら 早めの段階から補聴器を開始したほうが認知機能の低下を遅らせることはできるかもしれないと考えられています。

さらに本年からは新型コロナウイルス感染防止対策のための新しい生活様式となり、マスクやソーシャルディスタンス、シールドやアクリル板越しに話をされることも多いと思いますの。聴こえの低下した方は他人との会話がより難しい時代になっていますので補聴器を上手く利用して頂きたいと考えています。

また、ご本人には(補聴器を使って)会話を楽しみたい、というモチベーションを持っていただくこともとても大切です。そのためには補聴器を装用される方の周りの方のご協力も大変重要です。補聴器を装用して聞こえが少しでもよくなったら、ご家族や友人と冗談を言って笑い合ったり、感謝の言葉や温かい声掛けなど、楽しく、うれしくなる会話をしていただきたいと願っています。

補聴器につきまして

 朝夕の冷え込みが強くなってきました。今年は新型コロナウイルスの心配がありますので例年以上に風邪などの感染予防に注意して過ごしたいと思っています。

さて今回は補聴器についてお話しさせていただきます。

「補聴器」に対してどのような印象を持たれていますか?

補聴器を買ってつけてみたけれど、うるさく響いて使えないと言われる方がおられるかもしれません。また知り合いから、高かっただけで役に立たない、と聞いてよい印象をお持ちでない方もおられるかもしれません。

補聴器は、聞こえが低下されている方に、補聴器を通して大きな音を耳の中に入れる働きを持つ、聞こえをサポートする医療機器です。

補聴器はメガネとは違って、装用すればすぐに良く聞こえるようになるものではありません。

なぜかといいますと、耳の聞こえが悪くなった方は、音の信号が脳に伝わらないため、音の刺激が少ない脳に慣れてしまっておられます。これを難聴の脳と言います。

難聴の脳に、大きな音を入れると、今まで静かな生活を送ってきたので、とてもうるさく不快に感じます。

しかし、よく聞こえていた頃の脳が正常な状態ですので、脳をかつて聞こえていた頃の脳に戻す訓練が必要となります。

そこで補聴器を使って脳を正常な状態に戻すトレーニングを行う必要があるのです。

慣れるまでに数か月かかると言われていますが、普段できるだけ長い時間装着していただいて少しずつ元に戻してゆくことが大切です。

トレーニング期間にできる限り快適に装用していただくためには、補聴器自体の調整や耳栓の調整など、患者さん個々の状態にあった細かな調整をしてゆく必要があります。

また、検査結果によっては補聴器を装用しても効果の期待できない方もおられます。

補聴器は一般の電気屋さんやメガネ屋さん、インターネットなどでも取り扱いがありますが、「これから補聴器を」と考えられている方は補聴器相談医の在籍する耳鼻咽喉科を受診し補聴器の相談をしていただいた方がよいと思います。

補聴器装用のために必要な検査を行ったり、装用に関する指導などを受けていただき補聴器に対する理解を深めていただくことがより良い装用につながると思います。

その際には、ご本人や周りの家族の方が日常生活のどんな場面で聴こえなくて困っているかを詳しく教えていただくことがとても大切となります。

そうしてはじめてご本人にとって一番良いと思われる補聴器をご提案させていただくことができるようになります。

その後、ご本人には実際に調整した補聴器を試聴していただき、状況に応じてさらに調整を行ってゆき少しずつ補聴器に慣れていただきます。

ご希望のある方は一度ご相談ください。

声かすれにつきまして

気温差の激しい季節になりました。朝は冷えるけれど昼は暑かったり、服の調節がむつかしく、気候の変化に適応しなければと感じています。

さて今回は声のかすれについてお話ししたいと思います。

声は、のどの中にある声帯を吐く息で振動させることで出しています。

その声帯に何らかの問題が生じたとき声がかすれます。

声のかすれは子供から大人まですべての年代の方に起こる可能性があります。

原因としては、急に発生する場合には声帯の急性炎症のことが多く、徐々に発症した場合には慢性炎症、ポリープや腫瘍、がん、咽喉頭酸逆流証や加齢の影響などがあります。手術や全身麻酔後にかすれることや、活発な子供さんであれば声の出しすぎによる小児声帯結節ができることがあります。

声帯に炎症があれば投薬治療を行います。声帯結節や声帯ポリープでは投薬加療を行っても改善しない場合には手術を検討します。

声が出にくくなった場合には声帯の安静を保つために無理に声を出さないように注意したほうが良いでしょう。水分補給や加湿も重要ですので、のどが乾燥しないように気を付けるようにしましょう

職業的に声をよく使う方は声のかすれが生じると治りにくかったり繰り返すこともありますのでこのような方は出来るだけ声帯に負担をかけない発声を行うことが大切です。

また、声帯が萎縮している場合、普段あまりしゃべらない方は会話を増やしたり朗読を行ったりなどして声を出す練習を行うことが効果的な場合もあります。

声のかすれが気になる方は一度耳鼻咽喉科で相談してください。

アデノイドにつきまして

アデノイドにつきまして

猛暑の夏が過ぎ朝夕は涼しくなってきました。ただ日中はむし暑いので寒暖差には気をつけたいところですね。

今回はアデノイドについてお話ししたいと思います。

「アデノイドって何? よくわからない」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。

アデノイドは正式には咽頭扁桃(いんとうへんとう)と言って、鼻の一番奥、のどの一番上の部分にあるリンパ組織のことです(図の赤色部分です)。のどや鼻の奥には、外から侵入する細菌やウイルスから体を守るためのリンパ組織がたくさん存在していますがアデノイドはそのうちの一つです。

アデノイドは生まれた時は小さく、成長とともに次第に大きくなり、5-6歳で最大となり、その後はだんだん小さくなり思春期以降はほとんど消失してゆきます。

アデノイドが問題となるのは主に小児です。

アデノイドが肥大すると、鼻つまりや口呼吸、いびき、睡眠時無呼吸の原因となったり、耳管という鼻と耳とをつなぐ管を圧迫して滲出性中耳炎を起こすことがあります。

またアデノイドに存在する細菌が耳に入って急性中耳炎を起こしたり、副鼻腔に入って副鼻腔炎を起こしやすくすると言われています。

さらには歯や顔の骨の成長が妨げられて「アデノイド様顔貌」と言われる、顎が小さく口がポカンと開いたような顔になったり、胸郭の成長が妨げられて胸がへこんで漏斗胸となることもあります。

アドノイドが肥大する原因としては、単にリンパ組織が増えて大きくなる場合と、炎症で大きくなる場合とがあります。

アデノイドはただ大きいだけで治療で行うことはありませんが、上記のような症状を起こす場合にはその治療を行う必要があります。炎症を抑える薬の治療を行ったり、肥大を抑えるためにアレルギー薬の内服や点鼻薬の治療を行います。薬で中耳炎や無呼吸が改善しない場合、中耳炎に対して行う鼓膜チューブ留置手術や無呼吸に対して行う口蓋扁桃摘出手術(へんとうせん手術)に加えてアデノイドの手術を行う場合もあります。

このようにアデノイド肥大は様々な症状を引き起こしますが、外からは見えにくい場所ですので、滲出性中耳炎や鼻つまりが改善しない、いびきや無呼吸があるときに内視鏡検査などを行って初めてわかる臓器です。

風邪などのウイルス感染の場合には、最初にこのアデノイドにウイルスが付着するとも言われており、感染などに対しても重要な役割があると考えられていますが、いまだに解明されていないところが多くあり、今後の進展が期待されるところです。

またこの部位に腫瘍ができることもあるので症状が続く場合には一度耳鼻咽喉科でみてもらったほうがよいでしょう

肥大したアデノイドに粘液が付いています