補聴器につきまして

 朝夕の冷え込みが強くなってきました。今年は新型コロナウイルスの心配がありますので例年以上に風邪などの感染予防に注意して過ごしたいと思っています。

さて今回は補聴器についてお話しさせていただきます。

「補聴器」に対してどのような印象を持たれていますか?

補聴器を買ってつけてみたけれど、うるさく響いて使えないと言われる方がおられるかもしれません。また知り合いから、高かっただけで役に立たない、と聞いてよい印象をお持ちでない方もおられるかもしれません。

補聴器は、聞こえが低下されている方に、補聴器を通して大きな音を耳の中に入れる働きを持つ、聞こえをサポートする医療機器です。

補聴器はメガネとは違って、装用すればすぐに良く聞こえるようになるものではありません。

なぜかといいますと、耳の聞こえが悪くなった方は、音の信号が脳に伝わらないため、音の刺激が少ない脳に慣れてしまっておられます。これを難聴の脳と言います。

難聴の脳に、大きな音を入れると、今まで静かな生活を送ってきたので、とてもうるさく不快に感じます。

しかし、よく聞こえていた頃の脳が正常な状態ですので、脳をかつて聞こえていた頃の脳に戻す訓練が必要となります。

そこで補聴器を使って脳を正常な状態に戻すトレーニングを行う必要があるのです。

慣れるまでに数か月かかると言われていますが、普段できるだけ長い時間装着していただいて少しずつ元に戻してゆくことが大切です。

トレーニング期間にできる限り快適に装用していただくためには、補聴器自体の調整や耳栓の調整など、患者さん個々の状態にあった細かな調整をしてゆく必要があります。

また、検査結果によっては補聴器を装用しても効果の期待できない方もおられます。

補聴器は一般の電気屋さんやメガネ屋さん、インターネットなどでも取り扱いがありますが、「これから補聴器を」と考えられている方は補聴器相談医の在籍する耳鼻咽喉科を受診し補聴器の相談をしていただいた方がよいと思います。

補聴器装用のために必要な検査を行ったり、装用に関する指導などを受けていただき補聴器に対する理解を深めていただくことがより良い装用につながると思います。

その際には、ご本人や周りの家族の方が日常生活のどんな場面で聴こえなくて困っているかを詳しく教えていただくことがとても大切となります。

そうしてはじめてご本人にとって一番良いと思われる補聴器をご提案させていただくことができるようになります。

その後、ご本人には実際に調整した補聴器を試聴していただき、状況に応じてさらに調整を行ってゆき少しずつ補聴器に慣れていただきます。

ご希望のある方は一度ご相談ください。