アデノイドにつきまして
猛暑の夏が過ぎ朝夕は涼しくなってきました。ただ日中はむし暑いので寒暖差には気をつけたいところですね。
今回はアデノイドについてお話ししたいと思います。
「アデノイドって何? よくわからない」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。
アデノイドは正式には咽頭扁桃(いんとうへんとう)と言って、鼻の一番奥、のどの一番上の部分にあるリンパ組織のことです(図の赤色部分です)。のどや鼻の奥には、外から侵入する細菌やウイルスから体を守るためのリンパ組織がたくさん存在していますがアデノイドはそのうちの一つです。
アデノイドは生まれた時は小さく、成長とともに次第に大きくなり、5-6歳で最大となり、その後はだんだん小さくなり思春期以降はほとんど消失してゆきます。
アデノイドが問題となるのは主に小児です。
アデノイドが肥大すると、鼻つまりや口呼吸、いびき、睡眠時無呼吸の原因となったり、耳管という鼻と耳とをつなぐ管を圧迫して滲出性中耳炎を起こすことがあります。
またアデノイドに存在する細菌が耳に入って急性中耳炎を起こしたり、副鼻腔に入って副鼻腔炎を起こしやすくすると言われています。
さらには歯や顔の骨の成長が妨げられて「アデノイド様顔貌」と言われる、顎が小さく口がポカンと開いたような顔になったり、胸郭の成長が妨げられて胸がへこんで漏斗胸となることもあります。
アドノイドが肥大する原因としては、単にリンパ組織が増えて大きくなる場合と、炎症で大きくなる場合とがあります。
アデノイドはただ大きいだけで治療で行うことはありませんが、上記のような症状を起こす場合にはその治療を行う必要があります。炎症を抑える薬の治療を行ったり、肥大を抑えるためにアレルギー薬の内服や点鼻薬の治療を行います。薬で中耳炎や無呼吸が改善しない場合、中耳炎に対して行う鼓膜チューブ留置手術や無呼吸に対して行う口蓋扁桃摘出手術(へんとうせん手術)に加えてアデノイドの手術を行う場合もあります。
このようにアデノイド肥大は様々な症状を引き起こしますが、外からは見えにくい場所ですので、滲出性中耳炎や鼻つまりが改善しない、いびきや無呼吸があるときに内視鏡検査などを行って初めてわかる臓器です。
風邪などのウイルス感染の場合には、最初にこのアデノイドにウイルスが付着するとも言われており、感染などに対しても重要な役割があると考えられていますが、いまだに解明されていないところが多くあり、今後の進展が期待されるところです。
またこの部位に腫瘍ができることもあるので症状が続く場合には一度耳鼻咽喉科でみてもらったほうがよいでしょう