今年のお盆頃はずっと梅雨のような雨の天気が続きましたが、その後はとても蒸し暑い日が続きますね。
さて今回は魚の骨についてお話したいと思います。
耳鼻咽喉科では、いろいろな異物を飲み込んでしまったという訴えで受診される患者様がおられます。
食べ物だけでなく、高齢の方であれば義歯や薬をつつむシート、お子様であればおもちゃなどもあります。
この中で一番多いものは魚の骨です。全体の90%を占めます。
魚の種類ではアジ、サンマ、サケ、タイ、ウナギ、サバ、イワシなどが多いと言われています。
魚の骨は細長く先端が尖っていることが多いため、飲み込んでしまうと、のどの柔らかい組織に刺さりやすいです。一番多い部位は口蓋扁桃で(写真左の黒矢印)、二番目は舌扁桃(写真右の黒矢印)です。症状は魚を食べて飲み込んだ時の痛みや異物感です。
お子様や高齢の方などで症状を訴えることが難しい場合、その後食事を食べなくなったり、よだれが垂れてしまうこともあります。
耳鼻咽喉科では、まず口からの観察を行い、骨が見えないときには内視鏡を用いて、のど全体を確認します。骨を確認できたら、口から専用ピンセットなどの器具で摘出したり、のどの奥の方であれば内視鏡を用いて摘出することもあります。
オエッーとなりやすい患者様にはのどに麻酔をして摘出することもあります。
ただ、どんなに観察しても骨が見えないこともあります。
刺さっている骨が小さくて細いか、あるいは組織の中に埋没している場合などです。
痛みがほとんどなく飲み込みも良好で、違和感のみ残る方は数日経過観察を行うこともあります。また、のどのCTを撮影して骨を確認することもあります。稀ですが骨が組織に埋没してそのままにしておくと膿のたまりをつくってしまうこともあるからです。
ご飯を丸呑みする方法については、丸呑みして痛みが消えた場合、食道を通って胃に落ちて行ったのか、組織の中に埋もれてしまったのかわからなくなることがあるためおすすめはできません。
魚の骨が刺さった場合は念のため耳鼻咽喉科で見てもらうようにしたほうがよいでしょう。