集音器と補聴器につきまして

日中はまだまだ気温が高い日が続いておりますが、朝夕は少し涼しく感じられるようになってきました。

さて、耳が聞こえにくいことで受診される患者様の中にご自分で集音器を購入し装用されている方がおられます。

今回は集音器と補聴器の違いについてお話ししたいと思います。

補聴器とは、安全面や効果などの基準をクリアした厚生労働省の承認を受けた管理医療機器となります。

補聴器は、聞こえない音の高さを個別に調整したり、騒音の中でも言葉を聞き取りやすくしたり、耳を傷めることのないように出力に制限をかけたり、ハウリングを防止したりする機能などがあります。このこまかな調整は認定補聴器技能者や言語聴覚士といった専門家が行いますので、病院やお店に赴いて対面で調整することが一般的です。ただ最近ではスマホに連動させることで、対面でなく遠隔で調整できる補聴器もありますので店舗まで行かずに調整をすることも可能となっているようです。

補聴器はこのように一定の基準をクリアした細かな調整を行う医療機器であるため高価なものとなります。

一方で集音器とは、補聴器の様な基準はなく、家電製品の中で聞こえをサポートする機器となります。集音器は、高音から低音まで音を一律に大きくする機種が多く、それらは音の高さを個別に調整することはできません。細かな調整ができないので補聴器に比べると満足のいく聞こえを得られない可能性がありますが、最近では補聴器ほどではないにしても、スマホと連動させて音の高さや音量を変えたり、雑音を抑えたり、ハウリング抑制したりなどの様々な機能を搭載した集音器も存在します。集音器は一般的に価格は補聴器に比べて安価ですので手に入れやすいです。

補聴器と集音器のどちらが良いかという質問を受けることがあります。

機器の調整に関しては補聴器は専門家が行ってくれますが、集音器はご自分でボリュームなどの調整を行いますので、自己判断でうまく調整うまくできていない場合に耳を傷めてしまう可能性があります。

装着した感覚としてご自分にフィットして聴こえが改善するようならどちらもありだと思われます。これは個々の患者様の難聴の状態が違うために一概に補聴器が良いとか集音器が良くないとは言えないのです

難聴の比較的進んでいる方、細かい微調整が必要な方、専門家の丁寧な調整を希望される方、集音器が効果のない方は補聴器をご検討いただいたほうが良いと思われます。

補聴器でも聞こえが完璧に改善するわけではなく調整が難しい方もおられます。また数か月かけて少しずつ調整をして装用し続けることで補聴器に慣れてゆく必要もあります。補聴器はきちんとした調整を行ってくれる熟練した専門家のいる病院やお店で相談されたほうが安心です。