声の老化につきまして

晴れた日には青空が広がり爽やかな風が吹く季節になってきました。

今回は声の老化についてお話します。

年を取ると声も老化して行きます。50歳ごろから声帯が萎縮して老化が始まるといわれています。

症状は、声のかすれ、大きな声や高く美しい声が出ない、長く話せない、流ちょうに話せない、などです。

原因としては、肺活量の低下、声帯やのどの筋力の低下、声帯の粘膜の萎縮、声帯の分泌腺の分泌が低下して乾燥すること、があります。また、舌やのど全体の筋肉も衰えるので声の響きや滑舌も低下します。

加齢により声帯が痩せて細くなると、しっかり閉じなくなり発声時に隙間ができて空気が漏れてかすれてしまいます。(下図写真)

左右の声帯は萎縮して凹んでいます  発声時に隙間を認めます

加齢変化を完全に防ぐことは難しいですが、できるだけ良い声を維持するためにはどのようにしたらよいのでしょうか?

普段あまりしゃべらない方は、声帯筋を維持するため声を使う事がとても大切です。新型コロナでお家時間が増えて、以前に比べて人と会話することが減っている場合には、ご家族との会話を増やしたり、本の朗読などで適度に声を出して頂きたいとです。

また逆に、声の使い過ぎの方は声帯の安静を心がけて、大声を出したり無理に高い声をだすことを避けたり、長時間しゃべらないことが大切です。

声帯を保湿するためにこまめに水分を摂取することも重要です。

逆流性食道炎のある方は胃酸がのどを傷めることがあります。逆流のある方は、寝る前に食事しない、胃酸を増やす食べ物(トマト、酢、ワイン、カフェイン、炭酸、紅茶、チョコなど)を食べ過ぎない、また過度の飲酒とタバコは避けると良いです。寝るときに枕を高めにすることもよいと言われます

声の専門治療を行っている施設では言語聴覚士の方の専門的な音声治療やボイストレーニング、手術治療が行われています。

声の弱い人は食べ物を誤嚥しやすく、逆にしっかりした声の方は嚥下機能も良いので、声を出すことが誤嚥の予防にもなります。

最近声がかすれてきた方は、喉頭がんやポリープなどの病変がないかどうかも確認しておく必要がありますので、まずは耳鼻咽喉科を受診してください。

中耳炎の経過につきまして

最近は20℃を超えて暑くなったり、冬の様な冷たい風が吹く日もあったりなど体調管理が難しい季節となりました。

さて今回は、中耳炎の経過についてお話したいと思います。

中耳炎は子どもに多い病気です。中耳炎は鼓膜の奥にある中耳に炎症を起こした状態です。

急性中耳炎は感染によって中耳に膿がたまり、発熱や耳の痛みが生じる疾患です。下図の一番左側の写真は急性中耳炎です。この患者様は発熱で受診されました。中耳には膿がたまって鼓膜が赤くなって腫れています。

このような場合には投薬治療を行って頂き、その後受診された時が真ん中の写真です。鼓膜が赤く腫れていた状態が治まり、膿からオレンジ色の滲出液という液がたまった状態になっています。これが滲出性中耳炎です。

鼻水が続いていたのでしばらく鼻の治療を続けた後の写真が一番右です。滲出液もなくなり治癒されました。

治療としては中耳炎の治療に加えて、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気を認める場合には鼻の治療も合わせて行う必要があります。

滲出性中耳炎が3カ月上続いていて、鼓膜の病的な状態が続いたり難聴が中程度以上ある場合には、鼓膜に換気チューブを留置する手術を検討します。

一般的には中耳炎はこのような経過をたどりますが、滲出性中耳炎の状態まで改善しても、その後滲出液がなかなか治りきらない場合や、再度膿がたまることもあります。

中耳炎はご家庭では治ったかどうかわからないので、耳鼻咽喉科で診察してもらっていただきたいと思います。