聞き取りにくさにつきまして

猛暑の夏が続いていましたが、最近は比較的涼しくなってきました。

さて今回は 聞き取りにくさについてお話ししたいと思います。

耳鼻咽喉科外来を受診される方の中で、人と話す時に聞き取りにくいと言われて受診される方がいらっしゃいます。

診察では、外耳や鼓膜に異常がないか確認して聴力検査や鼓膜の動きの検査などを行います。突発性難聴などの異常があればその治療を行いますが、診察や検査で異常がない場合もみられます。

患者様のお話しを聞くと様々な聞き取りにくさがあります。

周りがざわざわしているときに聞き取りにくい、聞き間違いが多い、複数の人と話すと聞き取りにくい、電話が聞き取りにくい、特定の人の声が聞き取りにくい、音は聞こえるが言葉として聞き取りにくい、話す内容が理解できないなどです。

聴力検査で異常はないのに聞き取りにくい症状の場合には「聴覚情報処理障害」も考えられます。聴覚情報処理障害は脳の中での聴覚の情報をうまく処理することができないために難聴と同じような状態を引き起こします。聴覚の検査だけでなく脳の機能や発達なども含めて様々な多角的な検査を行いますが、この疾患の診療を行っている医療施設はとても少ないのが現状です。

「聞き取りにくさ」は耳だけでなく脳の機能も関係しますので、将来的には耳から脳まで総合的に「聞き取りにくさ」が解明されることを期待しています。