寒暖差による鼻水につきまして

6月というのに梅雨も明けて真夏の日差しと暑さが厳しくなってきました。エアコンをうまく利用して過ごしてゆきたいと思います。

今回は寒暖差による鼻炎につきましてお話しします。

暖かい所から寒い場所へ移動したり、朝起きた時やクーラーの冷たい空気を吸ったり時にさらさらした鼻水、くしゃみ、鼻つまりを生じる鼻炎は、寒暖差アレルギーと呼ばれることがあります。

これは、正式には冷気吸入性鼻炎、寒冷性鼻炎などと呼ばれます。

鼻の血管は自律神経によって調整されています。冷たい空気や急激な温度変化に対して自律神経の調節がうまくいかない場合に鼻の症状が現れます。

症状はアレルギー性鼻炎と似ていますが、スギやダニなどに特定のアレルゲンにより引き起こされるものではなく、純粋なアレルギー反応ではありません。

診断としては、アレルギー検査を行います。検査でアレルギーと確定できない場合に血管運動性鼻炎の可能性があり、寒暖差による鼻炎はこの血管運動性鼻炎と言われる病態に近いと言われています。

寒暖差による鼻炎に確立された治療法はありませんので、アレルギー性鼻炎に用いる抗アレルギー薬を代用します。これらの薬で効果のある方もおられますが、効果が出ない方もおられます。漢方薬などで治療を行うこともあります。

アレルギー性鼻炎以外の鼻炎については、まだまだ分かっていないことも多くあります。今後の解明を期待したいと思います。

声の老化につきまして

晴れた日には青空が広がり爽やかな風が吹く季節になってきました。

今回は声の老化についてお話します。

年を取ると声も老化して行きます。50歳ごろから声帯が萎縮して老化が始まるといわれています。

症状は、声のかすれ、大きな声や高く美しい声が出ない、長く話せない、流ちょうに話せない、などです。

原因としては、肺活量の低下、声帯やのどの筋力の低下、声帯の粘膜の萎縮、声帯の分泌腺の分泌が低下して乾燥すること、があります。また、舌やのど全体の筋肉も衰えるので声の響きや滑舌も低下します。

加齢により声帯が痩せて細くなると、しっかり閉じなくなり発声時に隙間ができて空気が漏れてかすれてしまいます。(下図写真)

左右の声帯は萎縮して凹んでいます  発声時に隙間を認めます

加齢変化を完全に防ぐことは難しいですが、できるだけ良い声を維持するためにはどのようにしたらよいのでしょうか?

普段あまりしゃべらない方は、声帯筋を維持するため声を使う事がとても大切です。新型コロナでお家時間が増えて、以前に比べて人と会話することが減っている場合には、ご家族との会話を増やしたり、本の朗読などで適度に声を出して頂きたいとです。

また逆に、声の使い過ぎの方は声帯の安静を心がけて、大声を出したり無理に高い声をだすことを避けたり、長時間しゃべらないことが大切です。

声帯を保湿するためにこまめに水分を摂取することも重要です。

逆流性食道炎のある方は胃酸がのどを傷めることがあります。逆流のある方は、寝る前に食事しない、胃酸を増やす食べ物(トマト、酢、ワイン、カフェイン、炭酸、紅茶、チョコなど)を食べ過ぎない、また過度の飲酒とタバコは避けると良いです。寝るときに枕を高めにすることもよいと言われます

声の専門治療を行っている施設では言語聴覚士の方の専門的な音声治療やボイストレーニング、手術治療が行われています。

声の弱い人は食べ物を誤嚥しやすく、逆にしっかりした声の方は嚥下機能も良いので、声を出すことが誤嚥の予防にもなります。

最近声がかすれてきた方は、喉頭がんやポリープなどの病変がないかどうかも確認しておく必要がありますので、まずは耳鼻咽喉科を受診してください。

中耳炎の経過につきまして

最近は20℃を超えて暑くなったり、冬の様な冷たい風が吹く日もあったりなど体調管理が難しい季節となりました。

さて今回は、中耳炎の経過についてお話したいと思います。

中耳炎は子どもに多い病気です。中耳炎は鼓膜の奥にある中耳に炎症を起こした状態です。

急性中耳炎は感染によって中耳に膿がたまり、発熱や耳の痛みが生じる疾患です。下図の一番左側の写真は急性中耳炎です。この患者様は発熱で受診されました。中耳には膿がたまって鼓膜が赤くなって腫れています。

このような場合には投薬治療を行って頂き、その後受診された時が真ん中の写真です。鼓膜が赤く腫れていた状態が治まり、膿からオレンジ色の滲出液という液がたまった状態になっています。これが滲出性中耳炎です。

鼻水が続いていたのでしばらく鼻の治療を続けた後の写真が一番右です。滲出液もなくなり治癒されました。

治療としては中耳炎の治療に加えて、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻の病気を認める場合には鼻の治療も合わせて行う必要があります。

滲出性中耳炎が3カ月上続いていて、鼓膜の病的な状態が続いたり難聴が中程度以上ある場合には、鼓膜に換気チューブを留置する手術を検討します。

一般的には中耳炎はこのような経過をたどりますが、滲出性中耳炎の状態まで改善しても、その後滲出液がなかなか治りきらない場合や、再度膿がたまることもあります。

中耳炎はご家庭では治ったかどうかわからないので、耳鼻咽喉科で診察してもらっていただきたいと思います。

花粉症のOTC薬につきまして

花粉症の季節になりました。

コロナの流行で病院の受診を控えてドラッグストアやインターネットで花粉症のお薬を購入されている方もいらっしゃるかもしれません。

今回はこれらのお薬についてお話ししたいと思います。

この季節にドラッグストアに行くと目立つところに花粉症薬が置いてあります。その中にはスイッチOTC(Over The Counter)と言って、病院で処方する薬の中で比較的安全性が高いので市販可能となった薬もあります。

お薬の特性や効果、副作用などもご理解いただいたうえで使用されたほうがより効果的と思われます。

スイッチOTCの内服薬は主に鼻水やクシャミに効果があるものが多く、またOTC薬ではないのですが、プソイドエフェドリンが配合されている薬は鼻閉に効果があるものがあります。プソイドエフェドリン配合のお薬については、循環器疾患をお持ちの方は血圧上昇・動悸・発汗などが現れる可能性があります。さらに甲状腺の病気や糖尿病の方、眼圧の高い方、排尿障害をお持ちの方の症状を悪化させてしまう可能性がありますのでご注意いただきたいと思います。

内服薬の副作用として頻度の高いものに眠気があります。

副作用で眠気が出ると困る場合には、眠気の出る頻度の少ない内服薬を選んでいただいたり、点鼻薬や漢方薬をお使いいただいても良いと思います。

点鼻薬では血管収縮薬と言われる成分を含むものが鼻閉に即効性もありますが、長期に使用すると鼻がつまってしまう薬剤性鼻炎の原因となりますので、やむを得ず使用する場合には短期間・最小限にとどめて頂きたいと思います。抗アレルギー薬やステロイド薬の点鼻薬もありますが、これらは即効性はありませんので継続してご使用されることをお勧めいたします。

漢方薬は眠気がありません。また鼻のつまりに有効な成分も含まれているものもあります。ただ漢方薬にも副作用が起こることがあります。花粉症の漢方薬としては小青竜湯が有名ですが、胃腸の弱い方は胃もたれしたり、先ほどのプソイドエフェドリンと同様に、循環器疾患をお持ちの方、眼圧の高い方、排尿障害、甲状腺疾患などをお持ちの方はご注意いただきたいと思います。

病院受診をおすすめする場合としては、スイッチOTC等の内服薬で効果のない方、重症の花粉症の方、副鼻腔炎がある方、スギ花粉症だけでなくヒノキやイネ科など複数の花粉症があり長期治療を要する方、本当に花粉症なのかどうか検査を行って診断を希望される方、自分の判断ではなく医師に相談して治療を行いたい方、また保険での診療を希望される方などです。

花粉症のお薬をお使いになられる場合に参考にしていただきたいと思います。

花粉症につきまして2022

2022年が始まりました。

今回は、春のスギ・ヒノキ花粉症についてお話しします。

大阪の今年のスギ花粉は、飛散開始が2月中旬頃、飛散量は過去10年と比較してやや少なめ・昨年に比べるとやや少なめ、ピークは3月上旬から中旬にかけてと予想されています。

スギ花粉のピークが過ぎて3月の後半になると、今度はヒノキ花粉の飛散が増え始めます。ヒノキ花粉のピークは例年並みで4月上旬から中旬にかけてと予測されています。

これらは今後の気温や天気などによって変わることがあります。

スギ花粉は、飛散開始日といわれる日よりもはやくから飛散しているため、花粉症状でお困りの方は、飛散開始日の前から、花粉対策を取っていただきたいと思います。具体的には、服装、手洗い・うがいと洗顔、窓の開閉の工夫、洗濯物の室内干しなど、十分な睡眠をとるなどして体調管理に努めて頂くこと、またそれだけでは十分に楽にならない方は薬を使用して頂きたいと思います。

現在、新型コロナのオミクロン株が流行しています。オミクロン株は感染力が強いことと、初期症状として鼻水、くしゃみ、のどの痛みなどの普通の風邪のような症状が多いため、花粉症の症状とも似ているため注意が必要です。日本耳鼻咽喉科学会ではスギ花粉症をお持ちの方は早めに治療を開始して頂きたいと啓蒙しております。

当院では花粉飛散期には、抗アレルギー薬の内服や局所療法、漢方治療、重症スギ花粉症の方に生物学的製剤のゾレア注射を行っております。

受診の際には、これまでに効果のあった薬、なかった薬の名前、眠気などで困ることはなかったかどうかなどを教えて頂けると助かります。

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当院の診療につきまして

今年もあと1日となりました。新型コロナはしばらく落ち着いていましたが、オミクロン変異株が広がる可能性があるため、年末年始は注意して過ごしたいと思っています。

さて、今年も多くの患者様にご来院いただきました。ありがとうございました。

小さなクリニックですので診療は総合病院のようなレベルではなく、また診察の待ち時間が長いなど至らないところもあると思いますが、当院では患者様に寄り添ったやさしい診療を心掛けております。

苦痛が出来るだけ少ない診察を行い、病状のご説明を丁寧に行い、治療については、押し付けにならないようにご提案と言う形をとらせて頂きます。患者様からのご要望にはできる範囲で沿いたいと考えております。

病気になるとその病気の肉体的なつらさだけでなく不安も強くなります。患者様には当院を受診して頂くことで、ご安心頂いたうえで治療を行って頂けるように努めてゆきたいと考えております。また来年もどうかお願い申し上げます。

寒い毎日が続きますので暖かくしてよいお正月をお過ごしください。

耳の異物につきまして

朝はかなり冷え込んで冬の寒さになりました。日中は日差しがあると暑いときもありますが、また夕方になると急に冷えてくるので、寒さで体を冷やさないように気をつけたいものです。

さて今回は、耳の異物についておはなししたいと思います。

耳の異物を外耳道異物と言います。

異物には様々なものがあります。ゴキブリなどの昆虫、豆などの食品、綿棒の綿、また髪の毛やペットの毛などが耳に入ってしまったり、お子様では小さなおもちゃやビーズなどを耳に入れてしまうことがあります。

   髪の毛        ペット用の石       粘土

症状としては耳の中で音がする、耳の違和感やつまり感、また炎症を起こした時や昆虫が耳の中で動くと痛みが出ることもあります。お子さんでは症状の訴えが少なく、発見まで時間がかかることもあります。

耳鼻咽喉科では、耳の内視鏡を用いて異物があるかを確認します。異物があればどんなものかを確認します。虫であれば生きているかどうかも確認する必要があります。生きている虫が入り込んでいる場合にはあらかじめ麻酔薬で虫を弱らせておく必要があります。

異物を確認出来たら、ピンセットなどの器具を用いて摘出します。

摘出後はもう一度内視鏡で耳の診察を行います。耳の穴の中が赤くなったり腫れたりしていないか、鼓膜は正常かなどを確認します。多くの場合にはその後の治療は必要ないのですが、炎症が強く起きている場合には薬の治療を行うこともあります。

 右耳にビーズを認めます   摘出後は外耳の発赤を認めます

小さなお子さんのいるご家庭では、耳だけなく、鼻やのどに何でも入れてしまう危険性がありますので、小さなものはお子さんの手の届くところに置かないように気をつけて頂きたいと思います。

虫が耳に入りこんだ可能性があるようでしたら、あらかじめその旨をお伝えいただければ参考になりますのでお願いいたします。

口内炎につきまして

急に冬のような寒さになってきました。気候の変化が激しいので、風邪の患者様が受診されるようになってきました。体を冷やさないように気を付けてゆきたいと思います。

さて、今回は口内炎についてお話しさせていただきたいと思います。

口内炎は痛みが強いので食事を食べるときに痛くてわずらわしい思いをされることも多いかと思います。

典型的な口内炎は、アフタと言われる白く丸い小さな潰瘍です。

他にもいろいろな口内炎があります。虫歯や入れ歯、熱い食べ物の刺激で口内炎ができたり、カビが原因となることもあります。お子様では手足口病などのウイルスで口内炎ができることもあります。

耳鼻咽喉科では、口内炎に対してはお薬の処置や塗布を行います。ご自分でご自宅でお薬をつけたりうがいしていただいたり、ビタミン剤を内服する場合もあります。

なかなか改善せず同じところに1か月以上口内炎があり、まったく治らない場合は注意が必要です。

それは舌がんなど、普通の口内炎以外の原因を考える必要があるからです。

そのような場合、専門医が診察をしても、ただの口内炎と、ごく早期の舌がんとは判断がつかないこともありますので、腫瘍やがんの疑いがありそうなら、さらに詳しくきちんと調べる必要があります。

ただの口内炎と思って様子をみていたけれどなかなか治らない場合には早めに耳鼻咽喉や口腔外科を受診して相談されることをおすすめいたします。

においの老化につきまして

朝夕は少しずつ涼しくなり、夜には虫の声が大きくなり季節の変化を感じるようになりました。

さて、今回はにおいの老化についてお話しさせていただきたいと思います。

一般的には、においが分からなくなる原因としては、鼻副鼻腔炎や風邪の後、頭の外傷や薬が原因となります。最近では新型コロナウイルス感染で嗅覚障害を起こすことも広く知られています。また嗅覚障害はアルツハイマー型認知症などの神経疾患の初期症状のこともあります。

年を取ると体の各部分が徐々に老化してゆくように、においの働きも徐々に老化してゆきます。

においは10~20歳代がピークでその後徐々に低下し、男性は60歳台、女性は70歳台から有意に低下し、80歳を超えると75%以上の方が嗅覚障害をもつと言われています。

特徴としては、視覚障害や難聴と違ってほとんどの人は嗅覚の低下に気が付いていないということです。

においの神経細胞は、炎症などが原因で消失するとまた新しい細胞が再生するという特別な性質を持ちますが、加齢による嗅覚障害ではにおいの神経細胞の生まれ変わりや再生も起こりにくくなり、嗅覚の粘膜上皮の面積が減少します。

嗅覚が分からなくなると日常生活に支障をきたします。特に困ることは、料理の味付けがうまくできなくなるという料理に関係すること、食品の腐敗やガス漏れや煙に気が付かないという危険に関係したことが起こります。 

危険を回避する方法としては、食品腐敗については消費期限の確認を行うこと、ガス漏れや火災についてはガス検知器火災報知器を設置しておくことです。

料理の味付けについてはご家族で味を確認していただくことが良いと思われます。

加齢性嗅覚障害に対しては特別な治療法がないため、嗅覚障害であることを周囲の方に理解してもらう必要があります。

嗅覚刺激療法も加齢性嗅覚障害に予防効果があると言われています。まだ日本では決められた訓練法はかくりつしていませんが、朝晩2回、10秒ずつ何かのにおいを嗅ぐ行為が嗅覚の改善に有効と言われています。

嗅覚の低下を予防するために毎日何かのにおいを意識して嗅ぐようにされることがよいと思います。

魚の骨につきまして

今年のお盆頃はずっと梅雨のような雨の天気が続きましたが、その後はとても蒸し暑い日が続きますね。

さて今回は魚の骨についてお話したいと思います。

耳鼻咽喉科では、いろいろな異物を飲み込んでしまったという訴えで受診される患者様がおられます。

食べ物だけでなく、高齢の方であれば義歯や薬をつつむシート、お子様であればおもちゃなどもあります。

この中で一番多いものは魚の骨です。全体の90%を占めます。

魚の種類ではアジ、サンマ、サケ、タイ、ウナギ、サバ、イワシなどが多いと言われています。

魚の骨は細長く先端が尖っていることが多いため、飲み込んでしまうと、のどの柔らかい組織に刺さりやすいです。一番多い部位は口蓋扁桃で(写真左の黒矢印)、二番目は舌扁桃(写真右の黒矢印)です。症状は魚を食べて飲み込んだ時の痛みや異物感です。

お子様や高齢の方などで症状を訴えることが難しい場合、その後食事を食べなくなったり、よだれが垂れてしまうこともあります。

耳鼻咽喉科では、まず口からの観察を行い、骨が見えないときには内視鏡を用いて、のど全体を確認します。骨を確認できたら、口から専用ピンセットなどの器具で摘出したり、のどの奥の方であれば内視鏡を用いて摘出することもあります。

オエッーとなりやすい患者様にはのどに麻酔をして摘出することもあります。

ただ、どんなに観察しても骨が見えないこともあります。

刺さっている骨が小さくて細いか、あるいは組織の中に埋没している場合などです。

痛みがほとんどなく飲み込みも良好で、違和感のみ残る方は数日経過観察を行うこともあります。また、のどのCTを撮影して骨を確認することもあります。稀ですが骨が組織に埋没してそのままにしておくと膿のたまりをつくってしまうこともあるからです。

ご飯を丸呑みする方法については、丸呑みして痛みが消えた場合、食道を通って胃に落ちて行ったのか、組織の中に埋もれてしまったのかわからなくなることがあるためおすすめはできません。

魚の骨が刺さった場合は念のため耳鼻咽喉科で見てもらうようにしたほうがよいでしょう。