花粉症のくしゃみ・鼻みず・鼻づまりにつきまして

2月も中旬となりスギ花粉症の患者さんも受診されています。

今回は花粉症の症状についてお話しします。

花粉症では、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり、目のかゆみや涙、のどのかゆみやイガイガ感、咳、皮膚のかゆみなど様々な症状が起こります。

この中でも花粉症の3大症状といえば、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりです。

これらの症状はなぜ起きるのでしょうか?

本来無害であるスギ花粉が体内に入ると、スギ花粉症の方の体の中では免疫細胞からアレルギー反応を起こす物質(ヒスタミン)がたくさん出ます。

このヒスタミンによって、アレルギー反応を起こす情報が神経から脳(くしゃみ中枢)に伝わります。すると、花粉を追い出そうとくしゃみが出ます。

アレルギー反応の情報が鼻の分泌腺に伝わると、鼻の中を洗い流そうとたくさんの鼻水が出ます。

また、鼻づまりは、鼻の粘膜の血管が広がりうっ血により粘膜がむくむことによって起こります。

くしゃみと鼻水は花粉に接してすぐに反応が生じますが、鼻づまりはすぐに症状が生じる反応と、花粉が付着した後しばらく経ってから生じる反応があります。この違いから、個々の患者さんの困っている症状によって病院で処方する薬の種類が変わってきます。

耳鼻科を受診された際には、主にくしゃみ・鼻水に困っているか、鼻づまりが困るか、または全部の症状で困るのかを教えて頂ければと思います。

毎年花粉症状がつらい方は、花粉飛散情報に注意するとともに、花粉を避ける自己防衛策をしっかりとっていただき、薬で症状を和らげてできるだけ楽に過ごして頂きたいと思います。

花粉症につきまして

2020年が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。

今回は、花粉症についてお話したいと思います。

花粉症の患者さんの約70%はスギ花粉が原因です。スギ花粉は、関西では主に2月中旬から約2カ月間飛散します。毎年この時期に鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみがある方はスギ花粉症が疑われます。また、ヒノキ花粉は4月を中心に約1カ月間飛散します。西日本ではヒノキ林も多いためヒノキ花粉飛散がスギ花粉飛散を上回る地域もあります。

スギ花粉は、前年の夏に日照りが続き雨が少ないとたくさん作られます。

飛散開始日は前年秋から春にかけての気温の推移から予測します。ただ、飛散開始と認められる前からわずかな量の花粉が飛ぶため、開始日より前に花粉症を発症する方もいらっしゃいます。

日々の飛散量は、気温・風・降水から予測されています。晴天で暖かく風がある日には多く飛散します。

大阪の2020年スギ花粉飛散予測は、飛散開始は例年並みで2/24頃、飛散量は例年に比べて少ないだろうとされています。これは、昨年夏の降水量が多く日照時間が少なかったためのようです。

対処の原則は、原因となる花粉をさけることです。花粉飛散情報を利用して飛散の多い日を把握し、外出時にはマスクやめがねを使用する、花粉のつきやすい服を避けるなどの対策が重要です。外出から帰ったら手洗い・洗顔・うがいを行いましょう。適度な休息や十分な睡眠をとることも大切です。

投薬治療は内服薬・点鼻薬・点眼薬など様々なものがあり、患者さんそれぞれに合った薬を見つけることが必要です。薬で効果が得られないときや副作用が出て使用できないなどの場合には、手術療法を検討することもあります。

また、根本的に治す可能性のある治療法として免疫療法があります。舌下免疫療法は、錠剤を舌の下に毎日置いて、数年間続けることが必要な治療です。

毎年花粉症でお悩みの方はセルフケアを行いつつ医療機関での治療を受けていただきたいと思います。

インフルエンザにつきまして

今年もあとわずかとなりました。急に寒くなってきましたので風邪ひきの患者さんが多く受診されています。インフルエンザの患者さんも少し来られ始めていますので今回はインフルエンザについてお話したいと思います。

インフルエンザは、咳やくしゃみから飛んだ痰や鼻水に含まれるウイルスを吸い込んでしまったり、ウイルスの付着したドアノブやスイッチなどに手で触れ、その手で鼻や口に触れることにより感染します。

インフルエンザに感染したら、1~3日程度で発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身がだるい、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状が急に現れます。  

このような症状のある方が病院を受診されインフルエンザの疑いがある場合、鼻から迅速検査を行います。5分程度で結果が出ます。この検査の欠点としては、発病初期には(ウイルスの量が少ないため)陰性に出ることがあり、検査が陰性でもインフルエンザではないとは言えない時期があることです。発熱して12時間程度経ってから行うとより正確に診断が可能となります。  

A型インフルエンザ陽性

治療は、抗インフルエンザ薬を使用してウイルス量を減らすことで発熱の期間を1~2日短くすることができます。症状が出始めてから48時間以上経つと薬の治療効果は期待できません。 解熱薬のアセトアミノフェンや、咳止めなども症状によって使用します。安静、休養、特に睡眠、水分を十分に摂ることが重要です。まれに脳症や肺炎や脱水症を起こして重症になることもあるため、高熱が続く、呼吸が苦しい、食事や水分も取れないなどの症状があれば早めに病院で相談してください。  

未成年者はインフルエンザに感染すると、急に走りだす、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動を起こすおそれがあるため、少なくとも2日間は1人にしないなどの周りの方の配慮が必要です。  

インフルエンザは熱が下がっても感染性があります。

学校保健法では、

1.    症状が出始めた日の翌日から、まる5日間経過した

2.    熱が下がった日の翌日から、まる2日間(乳幼児はまる3日間)経過した

この2つを満たしたら登校(登園)可能となります。職場復帰の時期に関しては、最終的には職場の判断となります。

感染していても症状のない人や軽い風邪程度のこともあるので、流行時期は人が多く集まる場所に行かないようにすることも大切です。また予防としてはワクチン、手洗いやマスク、適切な加湿(50~60%)、水分摂取、十分な休養と栄養を心がけることです。体を冷やしてしまうと免疫力が下がります。気温が下がって空気が乾燥すると感染しやすくなるため、寒いと感じた時には体を冷やさないように温かくする、加湿するなど気を付けてお過ごしください。  

秋の花粉症につきまして

花粉症と言えば、日本では春のスギ、ヒノキの花粉症をお持ちの方が多いと思いますが、

夏、秋にもそれぞれの花粉症があります。

今回は秋の花粉症についてお話したいと思います。

秋になって鼻炎症状が悪化して受診される方がおられます。秋にアレルギー症状を強く起こされている方に対しては秋の花粉症とダニアレルギー考えます。

ダニは以前もお話ししましたように秋になり涼しくなると死滅するのでダニアレルゲンが増えてアレルギー症状を悪化させてしまいます。この時期にはお部屋掃除、エアコンのお手入れなどをしっかりと行いたいものです。

また秋の花粉症として一般的に多いといわれているものにブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどがあります。これらは一般的には、公園 空き地、川べりなどに多いといわれています。私はこれらを実際に見たことがありませんでしたので今回どの場所に自生しているのか探索に行きました。

近くの公園の手入れされていないところにはかなり大きくなったススキ、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、エノコログサなどの雑草を確認することができました。ブタクサ、カナムグラは見つけ出することができませんでした。

秋の花粉症は春の花粉症と違って、植物の大きさなどからあまり遠くには飛んで行かず、数十メートル程度といわれていますので地域性が顕著です。

ですので 秋の花粉症の対策としては、抗原回避、つまり川べりや整備されていない公園などに近づかないことが大切と言われています。散歩やジョギングをされる際には参考にしてください。

もちろん、お住まいの場所によって秋の花粉症状が強く出ることもありますのでその時には春の花粉症と同じ対策を取りましょう。

ブタクサなどキク科の花粉症と口腔アレルギーとの関係(ウリ科)、喘息との関係も言われていますのでご注意ください。

インフルエンザワクチンにつきまして

10月も下旬になり少しずつ肌寒くなってきました。風邪ひきの患者さんも徐々に多くなってきています。

毎年12月くらいになるとインフルエンザの患者さんが増えるため心配される方もいらっしゃると思います。

今回はインフルエンザワクチンについてお話したいと思います。

インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行が予測されるウイルスを用いて作られています。流行が予測されるウイルスの種類は年によって変わるため、ワクチンは毎年接種することが勧められています。

インフルエンザワクチンについてどのような印象をお持ちでしょうか?

ワクチンを接種したけれどインフルエンザにかかった方もいらっしゃると思います。

厚生労働省のHPでは、「インフルエンザワクチンはインフルエンザの発病をある程度予防すること、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果がある」とされています。具体的には、ワクチンを接種せず発病した方のうちの6割はワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、 また、乳幼児に対しては20~60%の発病防止効果があったと報告されています。

接種の時期は、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行して1~3月に流行のピークを迎えますので、遅くとも12月中旬までに接種を終えることが望ましいといわれています。最近では早くから流行することもあるため、早めに接種したほうがよい場合もあると思います。

接種回数は、12歳以下の方は3~4週間の間隔で2回、13歳以上の方は1回が一般的です。

なお、1カ月以内に他のワクチンを受けたという方はそのワクチンの種類によって接種できるかどうかを確認する必要がありますので、お子様がワクチンを希望される場合には母子手帳も持って行くようにしてください。

また、発熱など体調がよくないときには接種できないため、できるだけ体調のよい日に受けるようにしましょう。

インフルエンザ予防のためには、ワクチン接種だけでなく、手洗いやマスク、水分と栄養と睡眠をしっかりとる、体を冷やさないなどをしっかり気を付けて頂けたらと思います。

ダニアレルギーについて

ダニアレルギーについて

9月になっても日中はまだまだ暑い日が続きますね。それでも朝夕は少しずつ涼しくなっていて季節が秋に向かってすすんでいますね。

この時期に、くしゃみ鼻水、鼻づまりなどの鼻症状が強くなって受診される患者様がいらっしゃいます。こういった場合には私たちは、風邪や秋の花粉症、ダニアレルギーなどを考えます。

なぜダニアレルギー?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

ダニは一年中家の中にいるものなので、症状は一年中でると考えられることと思います。

その通りです。

ただダニアレルギーには季節性もあるのです。

それはダニにとって繁殖しやすい時期や環境があるからです。ダニアレルギーの主な原因となるヒョウヒダニは、高温多湿(25-28℃、湿度70%程度)を好むので梅雨~夏の時期に大量繁殖するといわれています。

夏が過ぎ少しずつ季節が進むと夏にたくさん発生したダニたちが死滅してゆきます。

ダニアレルギーは死んだダニの体や糞を吸い込むことで起きるので、秋になりダニの死骸が増えると鼻症状も強くなるというわけです。

ダニアレルギーはアレルギー性鼻炎だけでなく、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の原因にもなりますので、ダニに対してアレルギーのある方はこの時期は特に気をつけていただきたいです。

ではダニアレルギーについてはどのような対策をとれば良いのでしょうか?

それはダニが生息しやすい環境を変えてゆくことです。ちなみにダニはホコリやフケ、カビなどを好んで食べます。これらを掃除して減らしてゆくようにすること、また、ダニにとって住みにくい環境を作ることが必要です。

「部屋をよく掃除してください」といわれたことがあると思います。

でも、どこをどう掃除すればよいかわからない、自分はきちんとしている、時間がないので完璧には無理だ、と思われるかたもいらっしゃると思います。

一般的に効果的といわれる掃除の仕方について考えてみましょう。

まずは寝具です。
布団は家の中でダニが一番生息しやすい所です。布団については丸洗いしてくださいと言われたこともあるかと思います。
もし重症のダニアレルギーをお持ちの方はそうしてください。それが一番良い方法です。

むつかしい方は、布団を干すこと、可能であれば外に干したり、室内干しでもよいので行ってみてください。また布団乾燥機を使ってダニが住みにくい環境を作り、さらに掃除機で布団の表面を掃除してください。目安としては1m2あたり約1分です。

その後防ダニ寝具カバーを使うと効果的です。

防ダニ寝具カバーについては鼻アレルギーガイドラインの中にも述べられています。枕やクッションやぬいぐるみも可能であれば洗濯してください。

次にカーペットについてです。
カーペットには食べ物のかすや髪の毛、ホコリが落ちたりなど、ダニの好む条件がそろっていますので、カーペットを敷かないことでダニの数を減らすことができます。
それが難しいようでしたら、こまめに掃除機をかけてこれらのゴミやダニを減らしてゆくことが大切です。
また畳も同様で畳の隙間にダニが入り込むので掃除をこまめにしてください。

掃除はゆっくりと行うこと、目安としては1畳30秒、6畳間では約3分となります。週に2回以上行うことがすすめられています。

ソファは置かないほうがよいのですが、置く場合には布張りでないソファを使ったり、ソファのカバーをこまめに洗濯することが大切です。

クローゼット、タンスの中には洗濯した後の衣類をいれてしまうようにしましょう。

室内の湿度には気を付けて、天気の良い日は外気を入れて喚気する、湿度の高い日はエアコンの除湿機能を利用するなど、こまめに調節することが必要です。

すべてを完璧にすることは大変なので、できることから試してみてください。

この時期、新学期が始まって忙しいことや季節の変わり目で自律神経の調節が難しい時期なので疲れやすいことも症状の悪化につながります。規則正しい生活、十分な睡眠、栄養もしっかりとるようにしましょう。

ダニアレルギーについては長期間鼻症状が続くため、鼻の症状はいつもこんな感じですといわれる方もいらっしゃるかもしれませんが、放置せずにクリニックにご相談ください

クリニックではダニアレルギーの可能性がある場合には、血液検査などを行ったうえで適切な治療をご提案します。耳鼻科では鼻を通るようにして鼻水をとったあとに吸入を行って頂いたり、抗アレルギー薬の内服や点鼻治療を行います。ご希望のある方にはダニに対するアレルギー反応を起こりにくくするダニ舌下免疫療法を行っています。また手術については手術実績の多い病院へ紹介いたします。

ダニアレルギーについてはクリニックでの治療だけでなく、アレルゲンを避けることもとても大切です。掃除は時間も手間も取られるので大変なのですが、快適に過ごすためにできる範囲で取り組んでみてください。

耳あかと耳そうじについて

はじめまして。

しげのぶ耳鼻咽喉科アレルギー科を大東市に開院いたしました。

よろしくお願いいたします。

患者様に質問されることや自分自身が気になることなどを題材にしてブログを書いていきたいと思います。

今回は耳あかと耳そうじについてです。

耳そうじはしたほうがよいですか?と尋ねられることがあります。

教科書的には耳そうじはしなくても耳あかは自然に外に出てくるといわれています。

耳鼻科には耳そうじをしすぎて耳の中の皮膚を痛めて受診される患者さんがいらっしゃるので、耳そうじをしすぎないように気を付けてください、とお話しすることが多いのですが、実際には耳そうじをしなくて耳あかがたくさんたまる場合もあります。

では耳そうじはどのくらいの頻度でするのがよいのでしょうか?

答えは、人によってまた季節などによってちがうので一言では言えない、です。

また、耳そうじのやり方は人それぞれで、耳かきを使う方、綿棒で掃除する方色々あると思います。耳かきでうまくとれない場合もあれば綿棒で耳あかを奥に押し込んでしまうこともあります。自宅できちんと耳あかをとれないことも多いと思います。

ではどうするのがいちばん良いかというと、自宅では耳の入り口周辺をやさしくそうじをして、それで不十分なようであれば時々耳鼻科で(1カ月ごとの方もいれば半年ごとが良い方もおられます)耳のチェックをして耳あかがたまっていればとってもらうことではないかと思います。

軟性耳垢  押込んだ耳垢 腫れた外耳

耳あかで病院を受診しても良いのですかと?というご質問を受けることがありますが、耳あかだけの相談であっても遠慮せずに耳鼻科でみてもらうようにしましょう。