本年初めごろから新型コロナウイルスが流行し全世界に拡大しています。この感染症の多くは軽症と言われていますが、まだ全容がわかっていないことや重症の方がおられること、有効な治療法が確立されていないことなどで、今後の見通しが立たない状況が続いています。
はやくこの感染症の全容が解明され、ワクチン開発や適切な治療法、対処法などが確立されることを願うばかりです。
さて、本年度の春の花粉症ですがスギ花粉のピークを過ぎてそろそろヒノキ花粉の時期に入ってきています。
花粉症の方が外来受診をされたときに鼻をすすっておられるのをお見掛けします。花粉症の鼻水は水様性でほおっておくと鼻から垂れてしまうため無意識にすすっておられるようです。
今回は鼻すすりについてお話したいと思います。
鼻すすりとは風邪やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気のために、鼻水が垂れる不快感や鼻水による鼻づまりをなくすために、鼻水をのどの方に吸い込む行動です。
また、耳のつまり感を解消するために鼻をすする方もいらっしゃいます。これは、耳管(耳と鼻をつなぐ管)の機能異常がある方が、鼻をすすって自覚症状を軽くするためのものです。
このような鼻すすりですが、耳に悪影響があると言われています。
これは、鼻をすすると中耳の気圧が下がるためです。中耳内が陰圧になると、中耳炎、鼓膜の陥凹(へこみ)・鼓膜の接着(奥の骨に接する)・鼓膜の癒着(奥の骨にくっついて動かない)など耳の病気の原因になったり、滲出性中耳炎の治りが悪くなったりします。
ご自身やご家族(ご自分では自覚がないことも多いため)が頻繁に鼻をすすっているようでしたら、耳鼻科にて鼻・耳の診察や、アレルギーなどの検査、適切な治療を受けて頂ことが必要です。また、正しい鼻のかみ方を練習して習慣づけることも大切です。