言葉の聞き取りの検査につきまして

新緑の季節となりました。木々の緑が青空に映えて美しく感じるこの頃です。

昨年、私は自分の聞こえの検査を行いました。今回はその続きで、言葉の聞き取り検査を行ってみました。この検査は大きい言葉から始まりだんだん声が小さくなっていきます。

前回同様に、かなり集中力を持って臨みました。結果、両耳とも言葉の聞き取りは問題ありませんでした。

下の図は結果の表です。30デシベルという大きさの声で両耳とも100%の正解率でした。

年を取ると主に高い音から聞こえが低下します。子音は高音に属しますので、「し」、「ひ」、「ち」など子音の聞き分けが難しくなります。その結果、「白い」を「広い」などと聞き間違えてしまうといわれています。

私自身も周囲に雑音があると聞き取れないと感じることや聞き返すことが増えてきたように思います。今後もっと高度な検査が発明されれば私の聞き取りにくいと感じる事にも何か客観的な評価ができるかもしれないと思いますが、ひとまず今回の検査で異常がなかったことを安心しておこうと思いました。

スギ花粉症につきまして

とても寒い時期となっています。雪が舞う日もあり毎日凍える思いで出勤しています。

今回は、2025年の花粉症についてです。

東京では1月8日に飛散開始となりました。これは調査開始以来最も早いそうです。

日本気象協会によると、大阪では2月中旬には飛散開始となる見込みです。花粉飛散量は、昨年夏の気温が高く日照時間が長かったため、非常に多いとされており昨年の2倍以上のところもあるようです。

スギ花粉のピークは大阪では3月上旬~中旬、ヒノキ花粉は3月下旬~4月上旬と予測されています。

花粉症症状が強いと労働や学業に影響するといわれます。これは、鼻がつまるため睡眠不足になったり、症状が煩わしくて物事に集中できずイライラしてしまったりするためです。できるだけ室内に花粉を持ち込まない、空気清浄機や加湿器を使うなどして気を付けていただきたいと思います。

また毎年投薬治療を行っている方は、花粉飛散開始までに花粉症のお薬をご準備いただくことをお勧めします。

マイナンバー保険証につきまして

寒くて風が冷たい時期となりました。風邪の患者様やインフルエンザの方も来院されており、寒さに気を付けて過ごしている日々です。

今月より健康保険証の新規発行が終了となりました。マイナンバー保険証のご持参の患者様も少しずつ増えています。

マイナンバー保険証による保険資格の確認は、スムーズに進むと便利で簡単に確認ができます。しかし、ニュースなどでは確認機器の不具合が生じたり、個人情報が間違っていたりなどの問題に見舞われている施設もあるようです。

当院では、今のところマイナンバー保険証による大きなトラブルが生じたことはないのですが、当院スタッフはまだこの業務に十分に慣れているとは言えませんので、オンラインでうまく資格の確認がうまくできない場合には、患者様の診療が遅れたり、医療費の一時的な自費負担の可能性などのご迷惑をおかけすることが考えられます。

このようなトラブルを防ぐために、可能でしたらできるだけ従来の健康保険証もあわせてご持参いただけると助かります。現在の保険証は、転職や転居などの情報の変更がなければ、国保は来年10月31日まで、後期高齢者医療は7月31日まで、協会けんぽは12月1日まで有効となっておりますので、万が一マイナンバー保険証での資格の確認がうまくできない場合には従来の健康保険証を確認させていただきたいと思います。

ご来院される患者様には大変ご面倒をおかけいたしますがよろしくお願い申し上げます。

聴力検査について

朝晩が肌寒くなり、晴れた日には透き通った清々しさを感じる季節となりました。

さて、今回は自分の聴力を調べてみることにしました。

患者様と同じように聴力検査室に入って検査を行います。かなり集中していましたので、終わった時点で疲労感がありました。患者様は比較的長い時間をかけて検査をされますので、今回その大変さが理解できました。

下の表は検査の結果です。赤い〇は右耳を、青い×は左耳を測定したものです。周波数は左ほど低い音を、右ほど高い音を表しています。縦軸の聴力レベルは25デシベルよりも上であれば正常となります。

これは単純に音が聞こえるかどうかの検査ですので、この検査結果が正常でも言葉の聞き取りが悪いこともあります。

また、耳の聞き取り能力だけでなく、話す相手のしゃべり方、声の大きさ、声の質、雑音などの周囲の環境によっても言葉の聞き取りは変わってきますので、やはり聞き取りにくさの評価は難しいと感じます。

聞き取り困難症/聴覚情報処理障害につきまして

暑い日が続いております。あまりに暑いのでエアコンを使用するのですがエアコンの温度管理がうまくいかない時には体が冷えますので体調管理が難しいと感じているこの頃です。

さて、以前のブログでも「聞き取りにくさ」についてお話ししたことがあります。

聞き取りにくいと感じておられる方の中で、静かなところや、1対1での会話では問題がないのに、複数の人との会話や騒がしいところでは聞きたい言葉が聞き取れない方がおられます。

このような方の中で、音の聞こえの検査や言葉の聞き取り検査で異常を認めない場合には「聞き取り困難症」を疑います。日本では120 万人程度の患者さんが存在する可能性があると考えられており、主に職場での会話や学校の授業が聞き取れなくて困られることが多いです。

診断には耳鼻咽喉科の診察と聴力検査を行い、耳垢や中耳炎や難聴などの異常があるかどうかを確認し、異常を認めない場合に聞き取り困難症の可能性を考えます。

聞き取り困難症は、聴覚情報を処理する部分の問題だけではなく、認知、特に注意の問題、記憶の問題、語彙や理解など言語の問題などが複合的に関係していると考えられています。病態を把握するために聴覚情報処理や、発達などの検査を行うことが望ましいとされておりますので、疑われる患者様は病院へ紹介させていただくことがあります。

聞き取り困難症に対する対応としては、補聴援助システムを利用したり、騒音抑制機能付きデジタル耳栓を用いることが有効な場合があります。また個々の患者様の聞き取りにくさに応じた対策・適応策を考えること、周囲の方々の理解を深めてどのように支援するかを考えることなどが重要と言われています。

夏の花粉症につきまして

今年は梅雨入りが例年に比べて遅くなりましたが、最近は悪天候で暑く湿度が高い日も増えてきました。

春の花粉症は例年GW頃に終了することが多いため、GW後には症状は落ち着かれると思いますが、夏の花粉症をお持ちの方はGW過ぎても鼻症状でお困りの方もいらっしゃいます。

夏の花粉症のうち、頻度の高いものとしては、カモガヤ、オオアワガエリなどのイネ科花粉症です。4月から秋ごろまで症状が続きます。イネ科の雑草は似たような抗原を持つため、複数のイネ科に反応していることもあります。

ヨーロッパでは、カモガヤは牧草として用いるためカモガヤアレルギーの方が多いです。日本にはヨーロッパから牧草として輸入されましたが、繁殖力が強いため野生化したものが空き地や道端、川沿いに生息しています。

イネ科花粉はスギ花粉よりも飛散距離が短く、十数メートルから数百メートル程度までと遠くに飛ばないので、夏には公園や河川に近づかないことで夏の花粉症を予防できる場合もあります。

イネ科花粉症の治療としては、スギヒノキ花粉症と同様で、症状が強い場合には抗アレルギー薬を用いて症状を抑えることとなります。

また、イネ科の牧草(チモシー、オーチャードグラス)はウサギやネズミの飼育に使用されるため、ペットアレルギーとしての原因にもなり得ます。この場合にはハウスダストやダニと同様に季節は無関係に鼻炎症状が続きます。

夏になっても鼻炎症状が続いてお困りの方は、イネ科花粉症があるのかどうかを血液検査で調べられてみても良いかと思います。

黄砂につきまして

穏やかで過ごしやすい季節となりました。

この時期には黄砂も気になります。

黄砂とは主に中国大陸の砂漠地帯から強い風で巻き上げられた砂が偏西風に乗って運ばれて飛来する粒子です。偏西風は3~5月に強くなるため今の時期にはその影響を受けることが多くなります。

黄砂は岩や粘土の鉱物でできていますが、黄砂粒子には微生物成分や大気汚染物質が付着しています。

黄砂による健康への影響としては、喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎、皮膚炎だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも上がるといわれています。

2~4月はスギ・ヒノキ花粉症の時期と重なるため花粉症との関係が問題となります。

アレルギー性鼻炎患者さんでは、黄砂の飛来によって、アレルギー性鼻炎を持たない人に比べてより多くの人に症状が出るといわれています。これは花粉症によって鼻粘膜の過敏性がすでに増していることや、黄砂に付着する微生物成分や大気汚染物質が鼻粘膜の炎症を引き起こすことが考えられています。

つまり黄砂自体はアレルギー源にはならないけれど、アレルギー反応を促進させ増強する作用があるものと示唆されています。

黄砂対策としては、①黄砂情報をチェックする、②飛来時には外出を控える、③マスクやうがいを行う、④洗濯物は部屋干しにするなどです。

黄砂による症状の出やすい方は飛来時には十分な対策をとっていただきたいと思います。

2024年花粉症につきまして

2月となりました。そろそろ花粉症の患者様もいらしています。

毎年花粉症症状に悩まされている方は、まだ症状はほとんどないけれど早めに投薬を受けたいと希望される方もいらっしゃいます。

本年のスギ花粉飛散は昨年と同じくらいで、例年と比較するとやや多いと予測されています。これは昨年の飛散量が非常に多かったためです。スギ花粉のピークは3月上旬から中旬にかけて、ヒノキ花粉のピークは3月下旬から4月上旬と予想されています。

現在日本では、スギ花粉症の有病率は38%で、3人に1人はスギ花粉症を持っています。このため、国や自治体などでも様々な取り組みを行っています。

具体的には、政府は昨年秋に「花粉症に関する関係閣僚会議」を行い、花粉症の発生源対策、飛散対策、発症・暴露対策の3本柱を取り決めました。

発生源対策としては、スギ人工林の伐採の加速・植え替え、花粉の少ない苗木の生産、スギ材需要を拡大してゆくことなどが検討されています。

次に、飛散対策として、森林情報の高度化、スギ雄花の花芽調査の詳細化とそのデータ公開、また、AIやスパコンを活用した、飛散予測に特化した三次元気象情報を提供するためのクラウド整備などが検討されています。

発症・暴露対策としては、診療ガイドラインの改訂、スギ舌下免疫療法治療薬の生産倍増、早めの投薬治療の開始や長期投薬の推進、マスクやメガネなどの花粉対策商品の認証や普及啓発の実施、企業に対しては健康経営優良法人認定制度に花粉症暴露対策を追加して、飛散大量日のテレワークを行うなどの企業の取り組み推進することなどが検討されています。

また、日本耳鼻咽喉科学会では、「花粉症重症化ゼロ作戦」と称して、花粉症を含むアレルギー性鼻炎に対する啓発活動を開始し、花粉症やアレルギー性鼻炎の重症化を防ぎ、 国民生活に資することを目指しています。

これらの対策は今年すぐに成果が出ないものもありますが、今後徐々に花粉症患者さんの症状を改善するためのものと考えられます。今後の成果に期待したいと思います。

今年も残すところあとわずかとなりました

今年を振り返ってみますと、春先には花粉症の方が大勢お越しくださいましたが、やはり感染症の方が多くいらした印象が残ります。

新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、ヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症などの方が多く来院されただけでなく、検査しても原因がわからない高熱の方も来院されました。

通常、インフルエンザは冬季に、ヘルパンギーナやアデノウイルス感染症は夏季に流行する疾患といわれてきましたが、今年は夏にインフルエンザの方も来院され、また12月にもヘルパンギーナやアデノウイルス感染症の方も来院されました。さらにインフルエンザは12月にかなり流行をしましたので学級閉鎖なども多くの学校で起こりました。

このような状況でしたので、今年は診療が難しいと感じることも多々ありましたし、今までの私の経験だけで決めつけることの危うさも感じる一年となりました。

あと数日で新しい一年が始まります。来年は、今年と同じように季節に関係なく様々な感染症が一年中続くのか想像がつきませんが、また来年も皆さまのお役に立てるように努めたいと考えております。

来年もどうかよろしくお願い申し上げます。 

寒い日が続きますので暖かくお過ごしください。

インフルエンザ予防接種につきまして

10月も下旬となり朝夕の冷え込みが急に強くなりました。日中は暖かいので体温調節や衣服の調整が難しいと感じています。

さて、この時期になるとインフルエンザ予防接種も開始されており、すでに終わられた方もおられると思います。

一般的にはインフルエンザは夏にはあまり流行せず、寒い時期に流行するのですが、今年は夏から現在も持続的に患者様が来院されています。

今年は新型コロナ感染に対するマスクなどの感染予防対策が5月に緩和されて以降初めての冬となります。

インフルエンザワクチンは接種しても感染を予防することはできませんが、発病を予防したり、発熱の期間を短縮したり、重症化を防ぐといわれます。

患者様から、最近インフルエンザに罹患したけれどインフルエンザワクチンの接種は必要ですか?と質問されることがあります。

最近感染した場合には、体内で抗体ができますので同じウイルスにすぐに再感染することは考えにくいのですが、インフルエンザは1種類だけではありませんので感染した以外の型が流行すればまた感染する可能性があります。

インフルエンザワクチンは毎年流行が予測される4種類の株に対応してワクチンを製造をしていますので、感染したウイルス以外の株にも効果が期待できると考えられています。このためインフルエンザになった方でもワクチン接種を行う意義はあると考えられています。

ご希望の方はご検討いただきたいと思います。

ただ、ワクチンの効果は絶対的なものではないため、咳エチケット、手指消毒、手洗い、マスク着用などの感染予防対策を十分に行っていただくことがとても大切と思います。